大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成9年(ネ)2165号 判決 1998年7月14日

控訴人

小野曻

右訴訟代理人弁護士

道家淳夫

被控訴人

安田火災海上保険株式会社

右代表者代表取締役

有吉孝一

右訴訟代理人弁護士

平沼高明

加々美光子

小西貞行

平沼直人

水谷裕美

主文

一  控訴人の本件控訴及び当審における予備的請求をいずれも棄却する。

二  控訴費用(当審における予備的請求に関する費用を含む。)は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2(一)  主位的請求

被控訴人は、控訴人に対し、四二八万〇五〇〇円及びうち三四五万一九〇〇円に対する平成七年九月一九日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

(二)  当審における予備的請求

被控訴人は、控訴人に対し、一万〇四〇〇円及びこれに対する平成七年九月一九日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二  事案の概要

本件は、被保険者が日本国内において税理士としての業務の遂行に当たり職業上相当な注意をしなかったことに基づき提起された損害賠償請求について法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を保険会社が填補することなどを内容とする税理士職業賠償責任保険契約(以下「本件保険契約」という。)に加入した控訴人が、顧客の納税申告事務の処理に当たり租税法規の解釈を誤って過少申告をしたために修正申告が必要になった上、顧客が受けることができた減算処理を受けることができなかったことに基づき顧客に対し賠償責任を負うに至った損害について、被控訴人に対し、(1) 主位的に、(ア) 本件保険契約に基づき、保険金三四五万一九〇〇円(顧客が現実に納付した全ての本税額合計七一二〇万二五〇〇円(別表2の修正申告欄の合計)と顧客が減算処理を受けることができた場合に納付すべき全ての本税額合計六七七五万〇六〇〇円(別表2の正当な税額欄の合計)との差額)及びこれに対する右の支払を催告した後である平成七年九月一九日から支払済みまで商事法定利率六分の割合による遅延損害金の支払、並びに(イ) 被控訴人が右支払を拒否したことが不法行為に当たるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害(弁護士費用)八二万八六〇〇円の支払を求め、(2) 予備的に、本件保険契約に基づき、保険金一万〇四〇〇円(顧客が確定申告により納付した法人特別税(法人特別税法(平成四年法律第一五号))及び事業税の本税額合計一六五一万一五〇〇円(別表2の確定申告欄の法人特別税及び事業税)と顧客が減算処理を受けることができた場合に納付すべき法人特別税及び事業税の本税額合計一六五〇万一一〇〇円(別表2の正当な税額欄の法人特別税及び事業税)との差額)及びこれに対する同日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

一  判断の前提となる事実関係は、次のとおりである。

1  税理士である控訴人は、平成六年七月七日、日本税理士連合会を保険契約者、被控訴人を保険者とする次の内容の本件保険契約に加入した(争いがない)。

(一) 保険期間 平成六年七月一日午後四時から平成七年七月一日午後四時まで

(二) 被保険者 控訴人

(三) 保険金額 一請求一億円、保険期間中の総填補限度額二億円、免責金額一請求につき三万円

(四) 本件保険契約には、賠償責任保険普通契約約款に加えて税理士特約条項が適用されるが、税理士特約条項には、次のような定めがある。

(1) 四条には、保険会社は、保険期間中に、日本国内において被保険者に対して請求が提起された場合に限り、損害を填補する旨が定められている。なお、右にいう「請求」とは、被保険者が、日本国内において税理士としての業務の遂行にあたり、職業上相当な注意をしなかったことに基づき提起された損害賠償請求を指すものである(一条)。

(2) 五条二項には、次のとおり定められている(以下「本件免責条項」という。)。

「当会社は、納税申告書を法定申告期限までに提出せず、または納付すべき税額を期限内に納付せず、もしくはその額が過少であった場合において、修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税(累積増差税額を含みます。)等の本来納付すべき税額の全部もしくは一部に相当する金額につき、被保険者が被害者に対して行う支払(名目のいかんを問いません。)については、これをてん補しません。」

なお、五条一項は、過少申告加算税等の加算税、延滞税、利子税等についてはてん補しない旨を定めており、本件免責条項はこれらを除く本税について免責を定めたものである。

2  控訴人が、顧客から損害賠償請求を提起されるに至った経緯は、次のとおりである(甲四ないし六、七の1、2、八、一二、弁論の全趣旨)。

(一) 控訴人は、株式会社シムラから、同社の平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)分の確定申告について税務代理の委任を受け、別表1及び2の各確定申告欄記載の内容の法人税等の確定申告をし、シムラは、右確定申告に基づき、法人税等合計六七三二万九九〇〇円を納付した。

(二) シムラの子会社である株式会社昭和サービスは、資本の額が三〇〇万円で、商法等の一部を改正する法律(平成二年法律第六四号)附則五条一項の規定の適用を受ける株式会社であったが、商法一六八条の四の最低資本金を充足するため、本件事業年度において、商法二九三条により利益準備金のうち七〇〇万円を資本に組み入れた。資本に組み入れた金額のうち相当額はシムラの受取配当とみなされるところ(法人税法二四条二項二号)、右の受取配当とみなされる額は、シムラの所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととされているが(法人税法二三条一項)、そのためには確定申告書の益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がなければならないのに(法人税法二三条五項。なお、同法七四条により法人税法施行規則の定める「受取配当等の益金不算入に関する明細書」(以下「別表八」という。)を添付すべきものとされている。)、控訴人は、個人株主に適用される租税特別措置法(平成八年法律第一七号による廃止前のもの)九条の三の規定が法人株主にも適用されるものと誤信するなどし、別表1の確定申告欄記載のとおり、本件事業年度分の確定申告において、損益計算書に昭和サービス以外の会社からの受取配当のみを営業外収益として計上して、右の受取配当とみなされる額を営業外収益に計上せず、かつ、確定申告書に別表八を添付しなかった(昭和サービス以外の受取配当についても益金不算入の適用を受けるためには別表八を添付すべきであったが、控訴人はその必要がないものと判断した。)。

(三) 控訴人は、本件事業年度分の確定申告法定申告期限である平成五年五月三一日の後、税務署から、右(二)の受取配当とみなされる額を営業外収益に計上しなかったことなどを指摘され、右指摘による処理の結果、別表1及び2の各修正申告欄記載の内容の法人税法の修正申告をした(右受取配当とみなされる額を便宜加算項目として計上した。ところで、右受取配当を益金不算入とするためには、前記のとおり確定申告書に別表八を添付していなければならなかったので、修正申告においてはその措置をとることができなかった。なお、法人税法二三条六項は、税務署長は別表八を添付しなかった場合においても、やむを得ない事情があると認めるときは、益金不算入を認めることができる旨を定めているが、本件においては、控訴人の要請にもかかわらず、右の救済規定は適用されなかった。)。そして、シムラは、右修正申告に基づき、法人税等合計三八七万二六〇〇円を更に納付した。

(四) 控訴人は、平成八年一〇月二四日、シムラから、本件事業年度分の確定申告書に右の受取配当とみなされる額を益金に計上し、かつ、確定申告書に別表八を添付した場合に納付すべき法人税法等合計六七七五万〇六〇〇円(別表2の正当な税額欄の合計)と顧客が現実に納付した法人税等の本税額合計七一二〇万二五〇〇円(別表2の修正申告欄の合計)との差額三四五万一九〇〇円及びこれに係る延滞税相当部分二五万一〇〇八円の合計三七〇万二九〇八円を損害として、その賠償請求を受けた。

3  控訴人は、被控訴人に対し、本件保険契約に基づく保険金三四五万一九〇〇円の支払を請求したが、平成七年九月一九日、被控訴人から、本件免責条項により保険金支払の対象外となる旨の回答があり、そこで、更に、控訴人の原審における訴訟代理人が、右の支払を請求したが、同年一二月二一日ころ、被控訴人訴訟代理人から右と同旨の回答があった(甲一、二、乙二)。

二  本件の争点は、次のとおりである。

1  本件免責条項により被控訴人が保険金支払義務を免れるか。

(一) 被控訴人の主張

(1)ア 本件免責条項の「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等の」との文言は、その後に続く「本来納付すべき税額の全部もしくは一部」との抽象的な文言を具体的に特定、説明するための修飾的な文言であることは明白である。

本件は、本件事業年度分の確定申告書に受取配当とみなされる額を収益に計上しなかったために、税務署から右の計上漏れを指摘されて修正申告をし、法人税等本税の過少申告部分合計三八七万二六〇〇円を納付したのであって、シムラが修正申告により納付した右本税の過少申告部分は、修正申告による納付すべきこととなった税法上本来納付すべき税額の一部に相当することが明らかであるから、免責の対象となる(この点は、控訴人の予備的請求に係る法人特別税及び事業税に関しても同一である。)。

イ なお、受取配当とみなされる額を収益に計上すべき点は、法人税法基本通達二―一―二七(四)ニにより必要的になされる処理であり、一方、受取配当の益金不算入の減算処理は、法人税法二三条に定めるとおり確定申告時に申告書の任意調整項目としてなされるもので、いわば任意的、選択的な処理である。したがって、右任意的減算処理をしない確定申告も税法上あるいは徴税行政上あるべき適法な申告である。

ウ 以上のように解しても、税理士が不適切な税務処理をしたため過大に税金を納付し、その是正の期限を経過した場合や、税法上の処理を誤ったために税金の還付を受けられなくなった場合等には保険の填補が行われるから、本件保険契約の填補範囲が不当に狭くなることはない。

(2) 仮に控訴人の予備的請求に係る一万〇四〇〇円が本件免責条項による免責の対象にならないとしても、前記一、1、(三)のとおり、本件保険契約には、保険金額に関し一請求につき三万円の免責金額が定められているから、保険金給付の対象とはならない。

(二) 控訴人の主張

(1)ア 修正申告、更正等による税額が常に客観的に正当な税額と一致するとは限らない。したがって、本件免責条項の「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等の本来納付すべき税額」とは、税理士が顧客に対する忠実義務に従い税法上正当な申告をした場合の正当な税額を意味するものであって、右の「等の」という文言は、必ずしも修正申告や更正等だけでは正当な税額が決められないことを明らかにしているものである。

被控訴人が主張するように、「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等」と「本来納付すべき税額」とを同一の意義をもつものと解釈するのであれば、当初から「修正申告、更正または決定により納付すべき税額」と規定すれば足り、かつ、その方が明確であって、不必要であるとしか考えられない修飾語とか、同意等価の文言をあえて約款上に用いることの合理的説明はない。

イ 法人税法二三条一項は、二重課税を防止するため、受取配当のうち一定のものを益金に算入しない旨を明示しており、同条五項はその手続要件として確定申告に別表八の添付を要求したものであって、決して被控訴人の主張するような任意的調整項目ではない。

本件は、本件事業年度分の確定申告書に受取配当とみなされる額を収益に計上せず、かつ、確定申告書に別表八を添付しなかったという手続要件の不備によって、法律上益金には算入されない額が益金に算入され、その結果、修正申告による税額が手続要件の具備を前提として算出された正当な税額を上回ってしまったものであるが、このような場合、修正申告によらず、かつ、手続要件不備がないことを仮定して算出された正当な税額が「本来納付すべき税額」である。したがって、シムラが修正申告により納付した全ての本税額合計七一二〇万二五〇〇円(別表2の修正申告欄の合計)のうち、右のとおりに算出された正当な税額である六七七五万〇六〇〇円(別表2の正当な税額欄の合計)を超える部分は、免責の対象ではない。

ウ 仮にこれが認められないとしても、シムラが確定申告により納付した法人特別税及び事業税の本税額合計一六五一万一五〇〇円(別表2の確定申告欄の法人特別税及び事業税の合計)は、右のとおりに算出された正当な税額である一六五〇万一一〇〇円(別表2の正当な税額欄の法人特別税及び事業税の合計)を超えているので、右超過部分は、免責の対象ではない。

(2) 被控訴人の(2)の主張は争う。

2  被控訴人の保険金支払拒否が不法行為となるか。

右争点についての当事者双方の主張は、原判決一四頁六行目から同一五頁七行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  当裁判所の判断

当裁判所も、控訴人の請求は、当審における予備的請求を含め、理由がないからこれを棄却すべきであると判断するが、その理由は、次のとおりである。

一  争点1(本件免責条項の適用の有無)について

1  本件免責条項の趣旨及び意義

(一)  納税申告書を法定申告期限までに提出せず、又は納付すべき税額を期限内に納付せず、若しくはその額が過少であった場合において、修正申告、更正又は決定により納付すべきこととなる本税等については、仮に被保険者である税理士が職業上相当な注意をしなかったために修正申告等により納付すべき税額が増加したものであるとしても、これにつき税理士たる被保険者が法律上の賠償責任を負担することにより損害を被ったものとして、保険会社がこれを填補しなければならないとするならば、顧客が納付すべき義務を負う本税等の全部又は一部を保険金によって填補するに等しい結果となるところ、乙三、四、六及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、監督官庁の審査を経て、右のような結果が過少申告等を助長させるおそれがあることにかんがみ、これらのおそれを排除するために、形式的に過少申告等があった場合においては、その実質的内容を判断することなく、修正申告等により納付すべきこととなる本税等について填補責任を負わないこととし、その趣旨を明らかにする規定として本件免責条項を設けたことが認められる。

そして、右事実に本件免責条項の規定の仕方、文言等に照らすならば、本件免責条項にいう「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等の本来納付すべき税額の全部もしくは一部」とは、前半の「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等の」との文言が後半の「本来納付すべき税額の全部もしくは一部」との抽象的な文言を具体的に特定、説明するものであって、「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等」と「本来納付すべき税額」とが等価、同意義の関係にあることを表現したものと解するのが相当である(すなわち、「本来納付すべき税額」とは、税務当局との関係で徴税行政上適正・適法な税額を意味するものと解すべきである。)。

このように解しても、税理士が税法の解釈、適用を誤ったために顧客が過大に納付してしまい、修正申告や更正の請求による是正の機会を失ってしまった場合や、税理士が税法上の処理を誤ったために税金の還付を受けられなくなった場合に、顧客から損害賠償請求を受けたときは、本件保険金の填補が受けられると解されるから、本件免責条項が不当に広すぎて本件保険契約の機能を損うことはないと考えられる。

(二) 控訴人は、本件免責条項にいう「本来納付すべき税額」とは、税理士が顧客に対する忠実義務に従い税法上正当な申告をした場合の正当な税額を意味するものであるから、常に「修正申告、更正または決定により納付すべきこととなる本税等」と一致するとは限らない旨主張するが、本件免責条項の規定の仕方、文言等に照らして、控訴人の主張するように解するのは無理があるというべきである。のみならず、控訴人のいう正当な税額とは、控訴人の故意又は過失があったとしても、納税者が当然にその本税等を納付する義務を負っているのであって、その全部又は一部に相当する損害が顧客に生じることを観念する余地はないから、これにつき本件特約条項を特別に設けて、免責の対象とする意味はなく、このことからみても、本件免責条項を控訴人の主張するように解釈することは妥当でない。

2  本件における免責の当否

これを本件についてみるのに、前示の本件の事実関係によれば、控訴人は、シムラの本件事業年度文の確定申告をするにつき、別表1及び2の各確定申告欄記載の内容の法人税等の確定申告をしたが、確定申告書に受取配当とみなされる額を損益計算書の営業外収益に計上せず、かつ、確定申告書に別表八を添付しなかったために、税務署から右受取配当とみなされる額の計上漏れなどを指摘され、その結果、別表1及び2の各修正申告欄記載の内容の法人税等の修正申告をしたものであるところ、控訴人がシムラから賠償請求を受けた損害三四五万一九〇〇円は、当審における予備的請求に係る一万〇四〇〇円を含め、本件免責条項にいう「修正申告により納付すべきこととなる本税等の本来納付すべき税額の一部」に該当することは明らかであるから、被控訴人には保険金の支払義務がないといわなければならない(法人税法は、原則として、資本取引以外の取引による収益をすべて益金としつつ(法人税法二二条二項)、二重課税を防ぐ見地から、受取配当等の一定のものを益金に算入しない旨を定めるが(同法二三条一項)、その適用を受けるためには確定申告書に別表八を添付すべきものとしているのであって(同法二三条五項)、その意味で、受取配当等につき現実に益金不算入の適用を受けるかどうかについては、納税者に選択の余地のあるものである。したがって、受取配当とみなされる額を収益に計上しなかったために修正申告をし、かつ、確定申告書に別表八を添付しなかったために益金不算入の適用を受けられなかったとしても、その結果は、修正申告により税法上本来納付すべき税額を納付したことに変りはないというべきである。

そうすると、本件が、右のような手続要件の不備によって生じたものであること、控訴人が自己又はシムラの利益を図る目的をもってことさらに過少の申告をしたものではなことなどの事情を考慮したとしても、本件の事実関係のもとにおいては、本件免責条項の趣旨を前記1に述べたところと別異に解すべき特段の事情はなく、本件免責条項の適用を受けるべきものといわなければならない。

3  以上によれば、控訴人の保険金支払の請求は、当審における予備的請求を含め、理由がない。

二  争点2(不法行為の成否)について

控訴人は、被控訴人が控訴人の保険金支払の請求に応じないことは、違法であり、控訴人に対する不法行為を構成する旨主張するが、前示のとおり、被控訴人には保険金の支払義務がないといわなければならないから、被控訴人が控訴人の保険金支払の請求に応じなかったことは、違法であるとはいえず、控訴人に対する不法行為を構成するものではない。

したがって、控訴人の不法行為に基づく損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

三  以上によれば、控訴人の主位的請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がなく、また、当審における控訴人の予備的請求も理由がないから、いずれもこれを棄却すべきものである。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官岩井俊 裁判官髙野輝久裁判長裁判官宍戸達德は、退官のため署名押印することができない。裁判官岩井俊)

別紙1課税所得一覧<省略>

別紙2税額一覧<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例